資金計画ガイド

住宅ローンの基礎知識

初めての住宅ローンでも安心。仕組みから選び方まで、分かりやすく解説します。

地域によって住宅ローン事情は大きく異なります

都市部と地方では金利・審査基準・利用できる金融機関が異なるため、お住まいの地域の情報をご確認ください

住宅ローンの4つの基本要素

まずは押さえておきたい基本的な要素を理解しましょう

※本ページの金利・諸費用データは2025年1月時点の主要金融機関の情報に基づいています

借入可能額
年収や返済負担率から計算
  • 一般的に年収の5〜7倍程度※
  • 返済負担率は年収の25〜35%
  • 他の借入も含めて計算
  • 頭金があると借入額を抑えられる
  • 【地域差】地方では年収倍率が低めに設定される傾向
金利
借入金額に対する利息の割合
  • 変動金利:0.4〜0.7%程度(2025年1月現在)
  • 固定金利:1.0〜2.0%程度(2025年1月現在)
  • 金利タイプで総返済額が大きく変わる
  • 優遇金利の活用が重要
  • 【地域差】地方金融機関は独自の優遇制度あり
返済期間
最長35年まで設定可能
  • 期間が長いと月々の返済額は少ない
  • しかし総返済額は増える
  • 定年退職前の完済を目指す
  • 繰上返済で期間短縮も可能
諸費用
借入時に必要な各種費用
  • 保証料:借入額の0.2〜2.0%程度
  • 事務手数料:3〜10万円または借入額の2.2%
  • 登記費用:20〜30万円
  • 火災保険料:年間1〜3万円

金利タイプを詳しく比較

それぞれの特徴を理解して、最適な金利タイプを選びましょう

比較項目変動金利固定期間選択型全期間固定
現在の金利水準0.4〜0.7%※0.8〜1.5%※1.3〜2.0%※
金利変動リスク高い中程度なし
返済計画の立てやすさ★★☆☆☆★★★☆☆★★★★★
総返済額(金利不変時)最も少ない中程度最も多い
繰上返済の効果★★★★★★★★★☆★★★☆☆

※2025年1月現在の主要銀行の金利水準。実際の金利は金融機関により異なります。

あなたに最適な金利タイプ診断

Q1. 今後の収入見込みは?

A. 増加が見込める・安定している → 変動金利も検討可

B. 不安定・減少する可能性がある → 固定金利が安心

Q2. 金利上昇時の対応力は?

A. 繰上返済で対応できる → 変動金利も可

B. 返済額が増えると困る → 固定金利推奨

Q3. 返済期間は?

A. 15年以内で完済予定 → 変動金利でメリット大

B. 20年以上かけて返済 → 固定期間選択型or全期間固定

変動金利

0.4〜0.7%(2025年1月現在)

短期間での返済を予定している方、金利動向を注視できる方

メリット

  • 金利が最も低い
  • 金利下降時は返済額が減る
  • 繰上返済の効果が高い

注意点

  • 金利上昇リスクがある
  • 返済計画が立てにくい
  • 5年ルール・125%ルールに注意

固定期間選択型

0.8〜1.5%(2025年1月現在)

子育て期間中など、一定期間の安定を求める方

メリット

  • 一定期間は金利が固定
  • 期間中は返済額が一定
  • 変動金利より安心感がある

注意点

  • 変動金利より金利が高い
  • 固定期間終了後の金利が不透明
  • 途中解約に違約金がかかる場合も

全期間固定金利

1.3〜2.0%(2025年1月現在)

安定性を最重視する方、金利変動を気にしたくない方

メリット

  • 完済まで金利が変わらない
  • 返済計画が立てやすい
  • 金利上昇の影響を受けない

注意点

  • 金利が最も高い
  • 金利下降の恩恵を受けられない
  • 総返済額が多くなりがち

返済方法の選び方

2つの返済方法から、ライフスタイルに合った方法を選びましょう

元利均等返済
毎月の返済額が一定
  • 返済計画が立てやすい
  • 当初は利息の割合が高い
  • 総返済額は元金均等より多い

安定した返済を望む方向け

元金均等返済
元金の返済額が一定
  • 総返済額が少ない
  • 当初の返済額が高い
  • 返済が進むにつれて楽になる

当初の返済余力がある方向け

銀行選びの決定的ポイント

メガバンク
全国展開で転勤時も安心
豊富な商品ラインナップ
金利は比較的高め
審査基準が厳しい
安定性重視の方におすすめ
ネット銀行
金利が低い
諸費用が安い
対面相談ができない
書類準備は自分で
コスト重視の方におすすめ
地方銀行・信用金庫地方在住者におすすめ
地域密着の手厚いサポート
柔軟な審査対応(地元企業勤務者優遇)
地域限定の特別金利プラン
移住者向け優遇制度あり
他地域への転居時は要注意
地元での家づくりに最適・メガバンクより有利な条件の場合も
フラット35
全期間固定金利で安心
審査基準が明確
金利は民間より高め
建物の技術基準あり
長期安定返済を望む方におすすめ
銀行比較時の必須チェック項目

金利・費用面

サービス面

住宅ローン借入時の諸費用

必須の費用

  • 融資事務手数料3〜10万円
  • 保証料借入額の0〜2%
  • 印紙税2〜6万円
  • 登記費用20〜30万円

その他の費用

  • 火災保険料年間1〜3万円
  • 団体信用生命保険金利に含まれる場合多
  • つなぎ融資金利必要な場合のみ

諸費用の合計は物件価格の5〜10%程度を見込んでおきましょう

地域別の住宅ローン攻略法

首都圏・関西圏

特徴

  • • 金融機関の競争が激しい
  • • ネット銀行の選択肢が豊富
  • • 金利優遇を受けやすい

平均的な条件

  • • 変動金利:0.3%〜
  • • 審査期間:2〜3週間
  • • 借入可能額:年収の7倍程度
攻略ポイント:複数行を比較して最良条件を引き出す
地方都市

特徴

  • • 地銀・信金が強い
  • • 地域限定優遇あり
  • • 対面相談重視

平均的な条件

  • • 変動金利:0.5%〜
  • • 審査期間:3〜4週間
  • • 借入可能額:年収の6倍程度
攻略ポイント:地元金融機関の独自プランを活用
地方・離島

特徴

  • • JAバンク・労金が活躍
  • • 自治体連携プランあり
  • • 移住者支援充実

平均的な条件

  • • 変動金利:0.6%〜
  • • 審査期間:4〜5週間
  • • 借入可能額:年収の5倍程度
攻略ポイント:自治体の移住支援制度と組み合わせる
地域特有の考慮事項

気候・災害リスク

  • 豪雪地域:融雪設備費用を考慮した借入計画
  • 台風常襲地域:耐風性能向上費用を見込む
  • 地震多発地域:耐震性能向上で金利優遇あり

地域独自の支援制度

  • 過疎地域:移住者向け金利0.1〜0.3%優遇
  • 子育て支援:3人目以降で金利優遇拡大
  • 地元就業:地元企業勤務で審査優遇

重要:お住まいの自治体HPで最新の支援制度を必ずご確認ください

金利タイプ別の具体的なシミュレーション事例

シミュレーション基本条件

借入額

3,000万円

返済期間

35年

ボーナス返済

なし

変動金利(0.5%)の場合

基本返済額

月々の返済額77,876円
総返済額32,707,584円
利息総額2,707,584円

金利上昇シミュレーション

10年後に1%上昇した場合

月々の返済:77,876円 → 87,234円

総返済額:約420万円増加

10年後に2%上昇した場合

月々の返済:77,876円 → 97,098円

総返済額:約850万円増加

固定期間選択型(10年固定1.0%)の場合

基本返済額

当初10年の月々返済額84,686円
11年目以降(変動1.5%想定)89,123円
総返済額(想定)36,424,080円

期間別返済計画

1〜10年目

安定した返済額で計画的に返済

10年間の返済総額:10,162,320円

11年目以降

金利状況により返済額が変動

繰上返済で期間短縮も検討

全期間固定金利(1.5%)の場合

基本返済額

月々の返済額(全期間一定)91,855円
総返済額38,579,007円
利息総額8,579,007円

安心ポイント

✓ 金利上昇リスクなし

市場金利が上昇しても返済額は変わりません

✓ 返済計画が立てやすい

教育費など将来の支出計画と合わせやすい

✓ 精神的な安心感

金利変動を気にする必要がありません

3つの金利タイプ比較まとめ
項目変動金利10年固定全期間固定
月々返済額77,876円84,686円91,855円
総返済額(金利不変時)3,271万円3,642万円3,858万円
金利2%上昇時の影響+850万円+500万円程度影響なし
10年後の残債約2,280万円約2,230万円約2,160万円

※上記はあくまでシミュレーション例です。実際の金利・返済額は金融機関により異なります。

年収別の返済計画実例

実際の相談事例を基に、年収別の無理のない返済計画をご紹介します

年収400万円のAさん(30歳)
会社員・妻パート・子供1人

借入計画

  • • 物件価格:2,500万円
  • • 頭金:300万円(両親援助含む)
  • • 借入額:2,200万円
  • • 金利:変動0.5%

月々の返済

57,110円

返済負担率:17.1%(適正範囲)

工夫ポイント

  • • 親との同居で土地代節約
  • • ローコスト住宅を選択
  • • 妻の収入は生活費に充当
年収600万円のBさん(35歳)
公務員・妻専業主婦・子供2人

借入計画

  • • 物件価格:3,500万円
  • • 頭金:500万円
  • • 借入額:3,000万円
  • • 金利:10年固定1.0%

月々の返済

84,686円

返済負担率:16.9%(適正範囲)

工夫ポイント

  • • 公務員の信用で金利優遇
  • • ボーナス返済なしで安定
  • • 教育費との両立を重視
年収800万円のCさん(40歳)
IT企業・妻正社員(世帯年収1,200万円)

借入計画

  • • 物件価格:5,000万円
  • • 頭金:1,000万円
  • • 借入額:4,000万円
  • • 金利:変動0.4%(ネット銀行)

月々の返済

102,095円

返済負担率:15.3%(余裕あり)

工夫ポイント

  • • ペアローンで控除最大化
  • • 繰上返済で20年完済目標
  • • 資産運用と並行実施
年収1,000万円のDさん(45歳)
会社役員・妻パート・子供3人

借入計画

  • • 物件価格:6,000万円
  • • 頭金:2,000万円
  • • 借入額:4,000万円
  • • 金利:全期間固定1.3%

月々の返済

118,658円

返済負担率:14.2%(余裕あり)

工夫ポイント

  • • 固定金利で安定重視
  • • 教育費3人分を考慮
  • • 定年前完済を計画

住宅ローン審査のチェックリスト

審査前の準備チェックリスト
スムーズな審査のために事前に確認・準備しましょう

必要書類の準備

審査ポイントの確認

審査を有利にするポイント

  • • 頭金を10%以上用意する(審査が通りやすく、金利優遇も)
  • • 事前審査は複数の金融機関で同時に申し込む(比較検討のため)
  • • キャッシング枠は使わなくても解約しておく(借入可能額に影響)
  • • 車のローンなど他の借入れは完済してから申し込む
  • • ペアローンや収入合算も検討する(借入可能額が増える)
🎯

次のステップ

この記事を読んだ後のおすすめアクション

1
返済シミュレーション

実際の借入額と返済額を計算してみましょう

2
補助金制度を確認

利用できる補助金制度をチェックして、賢く資金計画を立てましょう

3
耐震性能を確認

安心して暮らせる家づくりのため、耐震性能について学びましょう

どこから始めればいいか迷ったら、初心者ガイドをご覧ください