最終更新日: 2025年01月14日

名古屋で実現したエコハウスのリアル

Tips
省エネパッシブデザインメンテナンス

パッシブデザインと高断熱仕様で、真夏でもエアコン1台で快適。10年後のメンテナンスコストも考慮した設計。

基本情報
場所愛知県名古屋市緑区
家族構成50代夫婦(子供独立)
土地・建物60坪・延床32坪(平屋)
総費用4,200万円
工期10ヶ月
設計・施工設計事務所+工務店
パッシブデザインの詳細設計

日射コントロール

南面の庇:
出幅1.2m(夏至の日射角度78°で完全遮蔽、冬至31°で室内深く取込み)
窓の配置:
南面40%、東西面5%以下、北面15%(熱損失を最小化)
外付けブラインド:
西面に電動外付けブラインド設置(日射熱取得率を85%カット)

自然通風設計

通風経路:
南北に貫通する風の道を3本確保(リビング・寝室・水回り)
高窓の活用:
温度差換気用の高窓6箇所(電動開閉・雨センサー付き)
ウィンドキャッチャー:
縦すべり窓で微風も効率的に取り込み
高性能エコハウスの技術仕様

断熱・気密性能(HEAT20 G3グレード達成)

壁断熱:
吹付ウレタンフォーム160mm+付加断熱フェノールフォーム50mm
屋根断熱:
吹付ウレタンフォーム300mm(熱橋対策済み)
基礎断熱:
基礎外断熱 XPS 100mm+防蟻処理
窓仕様:
樹脂サッシ+トリプルガラス(Low-E×2、クリプトンガス充填)
性能値:
UA値 0.23 W/㎡K、C値 0.3 c㎡/㎡、η_AC値 1.2、η_AH値 2.5

省エネ設備システム

冷暖房:
床下エアコン1台(14畳用)+全館空調ダクト配管
換気:
第一種熱交換換気(顕熱交換率92%、全熱交換率85%)
給湯:
太陽熱温水器+エコキュート(ハイブリッド給湯)
創エネ:
太陽光発電10kW(パワコン2台)+V2H対応
年間エネルギー収支の実測データ

年間消費エネルギー

冷暖房1,250 kWh
給湯850 kWh
換気・照明・家電2,400 kWh
合計消費量4,500 kWh

年間創エネルギー

太陽光発電(10kW)12,000 kWh
自家消費分4,500 kWh
売電分7,500 kWh
10年後を見据えたメンテナンス計画

初期コストだけでなく、長期的なメンテナンスコストも考慮した素材選定を実施。

外壁:ガルバリウム鋼板

  • • 耐用年数:30年以上
  • • メンテナンス:15年毎に部分補修(約30万円)
  • • 選定理由:塗り替え不要で長期的にコスト削減

屋根:ガルバリウム鋼板(立平葺き)

  • • 耐用年数:40年以上
  • • メンテナンス:20年毎に防水シート交換(約50万円)
  • • 太陽光パネル一体型で美観も確保

設備機器の更新計画

  • • エアコン:15年(約15万円)
  • • エコキュート:10-15年(約40万円)
  • • 熱交換換気:モーター15年、本体25年
  • • 太陽光パネル:25年保証、パワコン15年
エコハウス設計の重要ポイント

1. シミュレーションの重要性

設計段階で日射シミュレーション、温熱環境シミュレーションを実施。 年間を通じた快適性とエネルギー消費を予測し、最適化。

2. 地域特性への対応

名古屋の蒸し暑い夏と、意外と寒い冬の両方に対応。 特に梅雨時の除湿対策として、再熱除湿機能付きエアコンを選定。

3. バックアップシステム

停電時でも最低限の生活が可能。V2Hで電気自動車からの給電、 太陽熱温水器は電気不要で給湯可能。

4. 将来の拡張性

蓄電池の後付けスペース確保、配管・配線の余裕、 将来の技術革新にも対応可能な設計。

エコハウスを建てる方へのアドバイス

設計事務所選びのポイント:

  • パッシブデザインの実績があること(作品集で確認)
  • 温熱環境シミュレーションができること(必須)
  • 省エネ建築診断士などの資格保有者がいること
  • 竣工後の性能測定・検証を行っていること

最後に:エコハウスは「我慢の省エネ」ではありません。 適切な設計により、少ないエネルギーで最高の快適性を実現できます。 初期投資は必要ですが、長期的には必ずペイします。