賃貸併用住宅

住みながら家賃収入を得る賢い選択

マイホームの一部を賃貸にすることで、住宅ローンの負担を軽減。 将来の資産形成にもつながる賃貸併用住宅の魅力を徹底解説。

賃貸併用住宅のメリット・デメリット

メリット
  • 住宅ローンの負担軽減

    家賃収入で月々の返済額の50〜70%をカバー可能

  • 節税効果

    減価償却費や管理費を経費計上でき、所得税を軽減

  • 将来の柔軟性

    家族構成の変化に合わせて自宅部分として転用可能

  • 老後の収入源

    定年後も安定した家賃収入で生活をサポート

デメリット・注意点
  • 管理の手間

    入居者対応、設備メンテナンスなどの管理業務が発生

  • 空室リスク

    空室期間中は家賃収入がなく、ローン返済負担増

  • 初期投資が高額

    通常の住宅より建築費が20〜30%高くなる傾向

  • 法規制への対応

    建築基準法、用途地域、防火規定などクリアすべき条件多数

賃貸併用住宅の成功事例

東京都世田谷区の駅近賃貸併用住宅の外観 - 1-2階賃貸、3階自宅の3階建て

写真提供: Pexels - Jaxon Matthew Willis

30代ご夫婦+子供2人

駅徒歩5分の好立地を活かした4戸賃貸

世田谷区の人気エリアに建築。1-2階を賃貸(1K×4戸)、3階を自宅として設計。 防音対策を徹底し、エントランスも完全分離。

収支実績(月額)

家賃収入(6.5万円×4戸)+26万円
住宅ローン返済-35万円
管理費・修繕積立金-3万円
実質負担額12万円

2025年最新!賃貸併用住宅の税制優遇

住宅ローン控除

最大控除額

年間35万円

※借入限度額3,500万円の場合

  • 控除期間:13年間(新築の場合)
  • 控除率:0.7%(2025年度)
  • 自宅部分40%以上で適用可能
不動産所得の経費計上

年間節税効果

約50-80万円

※年収800万円の場合

  • 減価償却費(建物・設備)
  • 管理費・修繕費・保険料
  • 固定資産税(賃貸部分)
相続税評価額の圧縮

評価額削減率

約30-40%

※賃貸部分の土地・建物

  • 貸家建付地評価減(約20%)
  • 貸家評価減(約30%)
  • 小規模宅地等の特例適用可
消費税還付

還付可能額

最大300万円

※建築費5,000万円の場合

  • 課税事業者選択で還付可能
  • 事前届出が必要(要注意)
  • 3年間の継続義務あり

賃貸併用住宅のリスクと対策

空室リスクへの対策

予防策

  • 駅徒歩10分以内の立地を選ぶ
  • 人気の間取り(1K・1LDK)を採用
  • 周辺相場より5%安く設定
  • 定期的なリフォーム実施

緊急時の対応

  • 家賃保証会社との契約
  • 3ヶ月分の予備資金確保
  • フリーレント期間の活用
  • 管理会社の客付け力確認
入居者トラブルへの対策

事前対策

  • 厳格な入居審査の実施
  • 保証会社必須の契約条件
  • 明確な賃貸借契約書作成
  • 定期借家契約の検討

問題発生時

  • 管理会社への迅速な相談
  • 内容証明郵便での通知
  • 弁護士への早期相談
  • 賃貸トラブル保険の活用

賃貸併用住宅のタイプ

1階賃貸・2階自宅

間取り図イメージ

特徴

  • • 生活音の影響を受けにくい
  • • プライバシーを確保しやすい
  • • 高齢者や足の不自由な方に人気

想定家賃

8〜12万円/月

(1LDK〜2LDKの場合)

建築費用の目安

延床面積40坪の場合

2,800〜3,500万円

内訳

  • 本体工事費2,400万円
  • 付帯工事費300万円
  • 諸費用100万円

収支シミュレーション

30年間の収支モデル(横割りタイプの場合)

初期条件

物件価格3,500万円
自己資金500万円
借入額3,000万円
金利1.0%(固定)
返済期間35年

月々の収支

家賃収入+100,000円
ローン返済-84,685円
管理費・修繕積立金-10,000円
実質負担額5,315円/月

※通常の住宅ローンなら月84,685円の負担

30年後の資産価値

不動産資産(建物減価考慮)

約2,500万円

30年間の実質支出総額

約191万円

(5,315円×12ヶ月×30年)

シミュレーションの注意点

  • • 空室率を10%で計算(年間1.2ヶ月の空室)
  • • 固定資産税、火災保険料は含まず
  • • 大規模修繕費用は別途必要
  • • 家賃下落リスクは考慮していません

知っておくべき法規制と融資条件

建築・法規制

用途地域の制限

  • • 第一種低層住居専用地域:原則不可
  • • 第二種低層住居専用地域:条件付き可
  • • 第一種中高層住居専用地域:可能
  • → 事前に必ず確認が必要

建築基準法の要件

  • • 界壁の遮音性能基準
  • • 避難経路の確保(2方向避難)
  • • 採光・換気の基準
  • • 耐火性能の向上

その他の規制

  • • 消防法(火災報知器等)
  • • 建物区分所有法
  • • 賃貸住宅管理業法
住宅ローン・融資

融資の特徴

  • • 自宅部分が50%以上で住宅ローン利用可
  • • 家賃収入を返済原資に算入可能
  • • 通常より審査が厳しい傾向
  • • 金利は若干高めの設定

必要書類

  • • 事業計画書(収支計画)
  • • 賃料査定書
  • • 建築図面・仕様書
  • • 周辺賃料相場資料

おすすめ金融機関

  • • 住宅金融支援機構(フラット35)
  • • 地方銀行(地域密着型)
  • • ネット銀行(金利優遇)

賃貸管理の実際

自主管理の場合
費用を抑えたい方向け
管理費用0円

必要な業務

  • • 入居者募集・審査
  • • 契約書作成・更新
  • • 家賃の集金・督促
  • • クレーム対応(24時間)
  • • 設備故障の手配
  • • 退去立会い・原状回復

注意:本業がある方には負担大

管理委託の場合
手間を省きたい方向け
管理費用:家賃の5〜10%

管理会社の業務

  • • 入居者募集から契約まで一括
  • • 24時間クレーム対応
  • • 家賃保証・滞納保証
  • • 定期巡回・清掃
  • • 法的トラブル対応
  • • 原状回復工事の手配

メリット:本業に専念できる

トラブル事例と対策

家賃滞納

→ 家賃保証会社の利用、連帯保証人の確保

騒音クレーム

→ 防音性能の向上、入居者審査の徹底

設備故障

→ 定期メンテナンス、修繕積立金の確保

退去時トラブル

→ 入居時の詳細な記録、原状回復ガイドラインの遵守

詳細収支シミュレーション

30年間の収支予測シミュレーター
あなたの条件で賃貸併用住宅の収支を計算してみましょう

初期投資額の内訳

建築費用

本体工事費3,500万円
付帯工事費400万円
諸費用100万円
合計4,000万円

資金調達

自己資金500万円
住宅ローン3,500万円
金利0.7%(変動)
返済期間35年

よくある質問

住宅ローン控除は受けられますか?

自宅部分の床面積が50%以上であれば、自宅部分について住宅ローン控除を受けられます。 ただし、賃貸部分は対象外となるため、按分計算が必要です。

確定申告は必要ですか?

はい、必要です。家賃収入は不動産所得として申告が必要です。 ただし、減価償却費や管理費、修繕費などを経費計上できるため、 節税効果も期待できます。

空室リスクはどう対策すればいいですか?

立地選びが最重要です。駅近、商業施設へのアクセス、学区などを考慮しましょう。 また、適正な家賃設定、定期的なメンテナンス、管理会社の活用なども有効です。 サブリース契約も選択肢の一つです。

将来、賃貸部分を自宅として使えますか?

はい、可能です。家族構成の変化に応じて、賃貸部分を子供部屋や 二世帯住宅として活用できます。ただし、入居者がいる場合は 契約期間や立ち退き料などの考慮が必要です。

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次のステップ

1
収支計算をする

まずは具体的な収支シミュレーションから。あなたの条件で本当に利益が出るか確認しましょう。

  • 想定家賃の調査
  • 初期投資額の算出
  • キャッシュフロー分析
2
融資相談をする

賃貸併用住宅に対応した金融機関で融資条件を確認。複数の銀行で比較検討しましょう。

  • 必要書類の準備
  • 金利条件の比較
  • 返済計画の策定
3
税制を確認する

税理士に相談して節税効果を最大化。住宅ローン控除と不動産所得の両立方法を確認。

  • 住宅ローン控除要件
  • 消費税還付の検討
  • 青色申告の準備